ちぇんじ☆
「真里のこと……好きなの?」

 これまでの言動からそのことは分かっているつもりだ。
 でも、本人にきちんと確認してみたい。
 それが――私にとってツライ言葉であると分かっていても。

 私の言葉を受けて、隼人くんは身動き一つしない。
 答えは分かっているつもりでも――ひょっとすると私の勘違いかもしれない。
 隼人くんが次のアクションを起こすまでの時間の流れがやけにゆっくりに感じられる。

――コクン。

 隼人くんが小さく一つ頷いた。

――やっぱりそうだったんだね。

 なんで?とか、いつから?とかの質問はしないであげる。
 私は――隼人くんの気持ちを確認したかっただけだ。

 自分の行く末が分かっているので、もうこの恋は諦めたつもりだった。
 でも――隼人くんの気持ちを知って……まだ胸がズキンと痛む。

「そっか……」

 隼人くんの視線を受けながらそう呟いた。
 そう呟くのが精一杯だった。
 私の――失恋の瞬間。

ガバッ!!

 布団を掴んで一気に布団の中に顔まで潜り込んだ。
 そのまま布団の中でギュッと目を閉じる。

「応援してあげるよ!」

 布団の外にいる隼人くんに言い放つ。
 隼人くんの「どうした!? 人に告白させといて返事なしか!?」という声が聞こえる――。
 違うんだ――。

 隼人くん、アナタが告白する相手は私じゃない――真里だよ。
 そう思いながら隼人くんには返事をしない。できない。
 また耳元でラップ現象の『バチッ!』という音が響いた。

――眠れなくても構わないよ。

 どうせ……今夜は一晩中布団の中で涙が止まってくれないだろうから。
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