ちぇんじ☆
 俺は人には言えないような秘密を抱えている。
 それは――『俺が霊能力者である』ということ。
 別に何ができるわけでもない。
 ただ、幽霊が見えたり、時に――人の心の中が覗けたり。

 小さい頃からそんな『人に言えない力』があることは自覚していた。
 そして、その『力』は俺の意思とは関係なく年に一、二回ほどコントロールが効かなくなることがあった。

 『力』のコントロールが効かない時期は他人に迷惑を及ぼさないようにずっと家に閉じこもっていた。
 大体は一週間ほどで『力』の暴走は止まり、日常の生活に戻れる。
 その期間は学校も休み、世間では『ヒキコモリ』と呼ばれるような生活を送る。

 その晩も――俺の『力』は暴走の傾向にあり、家に閉じこもり五日ほどが経過していた。
 他人と関わりがない生活というのも、ある意味では気楽なのだが……それでもストレスが貯まることもある。
 ましてや俺だって年頃――いわゆる『ヤリタイ盛り』の男子なのだ。

 普段なら幼馴染からそのままセックスフレンドのような仲にまで進展してしまった佐藤 瑞希とすれば性的な欲求不満は解消できていた。
 だが、運悪く『力の暴走期』にさしかかっていたこともあり俺は『自家発電』で欲求不満を解消しようと思い立った――。

 その晩のオカズは――例の女の子、『佐渡 真里』ちゃんだ。

 俺はその時すでに真里ちゃんに対して恋心を抱いていた。
 セックスフレンドである瑞希に対して抱くのとは全く違った感情――。
 一心不乱に真里ちゃんを思い浮かべて『自家発電』に励み。

 想い人をオカズにしてしまった自己嫌悪感と、思いの他充実した『一人エッチ』の心地よい疲れとともに就寝。

――その晩は真里ちゃんの夢を見た。
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