ちぇんじ☆
 体の持ち主が住んでるマンションを出てから適当に歩いてみる。

 だってさ、どっちに進めばいいのかも分からないんだもん。
 適当に歩くしかできない。
 大通りっぽいところまで行けばバス停くらいはあるだろう。
 バス停に書かれてる場所を見ればここがどこか分かるヒントくらいにはなるかもしれない。

 幸い朝の通学、出社時間とも重なっているのでそれなりに道を歩く人もいる。
 この人の流れに乗って歩いて行けばどこかの駅かバス停にはたどり着けるだろう。

 後は……この体の持ち主の知り合いに会わないことを願うのみだ。
 もし話しかけられても……私はこの人のことを何も知らないんだから。
 こんな状況だ、なるべく厄介なことは避けたい。

 歩くこと数分、バス停に到着。ただ歩くだけで神経がこんなに疲れる経験なんて生まれて初めてだ。
 なんとか知り合いには会わずに済んだようだ。

 バス停の路線図を見てみる。
 私の微かな希望は何とか神様に聞き入れてもらえたようだ。
 バス路線の目的地は私が住んでる街、その最寄り駅の隣の駅。
 近い、この場所に見覚えが無いだけで近隣であることは間違いない。

――なんとか自分の体には会いにいけそうだ。

 と、安心したのもつかの間だった。
 またも新たな懸念が私の頭をかすめる。

――バスに乗るためのお金とかどうしよう?
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