指先から恋をする。
「あんたね、その抱き着き癖はやめなっていつも言ってるでしょ!!」
「癖じゃないよ!!輝先輩にだけだもん!!」
「輝先輩の迷惑になるでしょ、バカ!!」
目の前で繰り広げられているこのやりとりにも、輝は既に慣れてしまっていた。というか、慣れざるを得なかった。
―――今も充分、迷惑なんだけど…。
さすがに、それは言えない。
ちなみに、言い合いの時も千架は抱き着いたままだ。さらに力を込めて抱き着いてくるから、苦しい。