愛の雫
静けさに包まれた部屋の中、目を閉じたまま風の音に耳を傾けていた。


時折、風が窓を優しく叩いては小刻みに揺らしているけど、それ以外はほとんど音がしなくて…


夜中の住宅街の静けさにほんの少しだけ不安を覚えてしまう反面、その穏やかさにどこか安堵もする。


上手く言えないけど、この感覚に心が落ち着いていく気がしていた。


しばらくして、目を閉じたままのあたしが寝返りを打った時…


部屋のドアがそっと開く音がして、それに釣られるようにゆっくりと瞼を開けた。


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