愛の雫
凪兄と交代するように促されて立ち上がると、椅子に座った彼が手当てを受け始めた。


程なくして、看護師が凪兄の右手を消毒しながら口を開いた。


「随分、派手にやったわねぇ……。殴り合いをした訳じゃないみたいだけど、どこかで喧嘩でもして来たの?あなたの手、結構腫れてるわよ」


凪兄の顔を確認するように見ていた看護師は、彼の顔に傷が無い事が不思議だったみたい。


「えっと、まぁそんなとこです……」


凪兄は気まずそうに言葉を濁した後、眉を寄せながら小さく笑った。


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