愛の雫
「だから、希咲は絶対に一人ぼっちにはならないよ」


凪兄の声が優しくて、あたしを抱き締めてくれる腕が温かくて…


心を蝕(ムシバ)むように包んでいた不安が、少しずつ少しずつ癒されていく気がした。


「……っ、本当……?」


「うん」


凪兄はゆっくりと体を離すと、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめて手を握った。


「だから、希咲自身の為にも、ちゃんと向き合うんだ」


涙を堪えながら唇を噛み締めたあたしは、返事をする代わりに彼の瞳を真っ直ぐ見つめ返した。


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