愛の雫
部屋中に響くくらい大きく息を吐いて、唇をキュッと結んだ。


自分の手と赤ちゃんの手を間近で見比べて、改めてその大きさの違いを感じた。


あたしの第一関節程の、小さな手…。


触れてしまえば壊れそうなくらい繊細なそれに、恐る恐る手を伸ばす。


そして…


人差し指で、赤ちゃんの手の平にそっと触れた。


赤ちゃんの体温を感じて、こんなにも小さいのに確かに生きているんだと実感する。


次の瞬間…


あたしの左手の人差し指が、キュッと握られた。


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