わたしの、センセ
第八章 壊れていく想い
―さくらside―

わたしは携帯の液晶を見る

センセからの返事がない

二時間目の休み時間に、センセにメールした

『センセ、何かあったんですか?』って

でも放課後になっても、センセからメールは来なかった

センセ…何があったの?

返事も返せないくらい…大変なことが起きてるの?

わたしは席を立つと、鞄を持って教室を出た

怖いよ、センセ

何か、嫌な予感がする

センセのメールが欲しい

センセの声が聞きたいよ

わたしは下駄箱で革靴に履き替えていると、青い車がちらりと目に入った

え? あの車って、もしかして……

わたしは顔をあげると、運転席から道隆さんが降りてくるのが見えた

「迎えに来たよ」

わたしの前に立った道隆さんが、満面の笑みで口を開く

わたしは首を横に振ると、道隆さんから逃げようと走り出す

すぐに手首を掴まれると、ズルズルと引き摺られて、車の助手席に突っ込まれた

「大人しくしろよ。話したいことがあるんだ。さくらが思わず足を開きたくなるような…そんな話だよ」

ニヤッと笑う道隆さんが、助手席のドアを閉めると、運転席に乗り込んだ

足なんか開かない!

わたしはセンセ以外の人とは、絶対に寝ない

わたしは鞄を抱き寄せると、隣にいる道隆さんを睨みつけた

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