わたしの、センセ
第二章 呼び出し
―悠真side―
葉月 さくらが登校してきたのは、新学期が始まってから1週間後のことだった

しかも2限目の途中に

堂々と校内に黒塗りのベンツが入ってきたと思ったら、2年の下駄箱の前で車が止まった

授業のコマが入ってない僕は、何事かと下駄箱に行くと、葉月さんが上履きを履いている最中だった

「ではお嬢様、放課後にお迎えにあがります」

運転手だと思われる男が、葉月さんにお辞儀をすると車に乗って、去っていく

なんて家だ

学校の門じゃなくて、下駄箱まで車を入れちゃうのかよ

葉月さんが僕に気がつくと、上履きをはいている動きが、ぴたっと停止した

細くて小さな身体を、下駄箱にくっつけると、びくびくと怯えた目で僕を見つめてくる

僕は肉食獣か?

いや…とって食ったりしないから!

そんなに怯えられても困るっていうか、声をかけづらいでしょ

僕は腕時計で時間を確認する

「もう少しで2限の授業が終わるから、今から教室に行っても無駄…かな? 少し僕と話をしようか。無断欠席の理由も聞きたいし」

僕は身体を反回転させると、廊下を歩きだした

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