わたしの、センセ
第五章 破棄
-悠真side-

僕は、仕事が終わると、一度家に帰ってから、友人のマンションに向かった

「松浦君、久しぶり」

大学のゼミが一緒だった小山内 桃香ちゃんが僕を向い入れてくれる

「あれ? 勇人さんは?」

「まだ、帰ってきてないよ。メールがあったから、もうすぐだと思うけど」

「律義だねえ。そんな風には見えないのに。桃香ちゃんにメロメロだね」

「違うよ。ただ…夕飯の支度とかがあるから」

桃香ちゃんが恥ずかしそうな顔をした

この夫婦はいつまでも仲良しで羨ましい限りだよ

僕が桃香ちゃんと知り合ったのは大学一年のとき

そのときにはもう桃香ちゃんは、小山内 勇人ってヤツの夫だった

これがまた、勇人さんは嫉妬深くて、めちゃくちゃな人だったなあ

初対面でいきなり殴られたもんなあ

ゼミの飲み会で酔って気持ち悪そうにしてた桃香ちゃんを心配してマンションの前まで送ってあげたら、グーパンチだもん

まあ、勇人さんと知り合えたから、いろいろとお金の工面をしてもらったけど

…人使いは荒いけどね

荒い分、バイト代は弾んだし

ありがたいけど、やっぱ人使いは荒いんだよなあ

言葉も悪し…態度デカいし

それなりに地位も権力もある人で、その世界では恐れられているって話だけど

小山内 勇人に目をつけられた金持ちは、必ず破産するか破滅するってね

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