Expansion-エクスパンション-
「くっ……リャムカ! 同調じゃ!」

「誰にですか?」

「わしに力を送り込め!」

 リャムカはその言葉にナナンの肩に手を添えた。

「少しでも……シルヴィの負担を和らげないと」

 両手を白銀の背中に向ける。

「シルヴィ!」

 ディランの声に白銀は目だけを彼に向けた。

「!」

 白銀の目と、ちらりと見えたその口元の笑みにディランはキッと目をつりあげて白銀に駆け寄る。

「! ディラン」

 慌てるナナンにニコリと笑った。

「大丈夫」

 そう言って白銀の肩に手を置き白銀はそれにぼそりとつぶやく。

「……ありがとう」
「お前らしくないな、それ」

「!」

 そんな2人のやりとりの背後にナナンは別の意識も見て取った。

 それは暖かくやさしい意識の結晶体。

「……そうか、だからシルヴィは」
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