Expansion-エクスパンション-

*マナ・グロウブ

 生まれついてのエナジー・ブレインである彼らの意識に流れ込んできたのは……

『惑星の拒絶する意思』

 彼らは愕然とし争い合った自分たちを恥じた。

 そうしてこの惑星は無人となったのだ。

 閑散(かんさん)とする宇宙港に降り立つと、老人は懐かしい空気を静かに味わった。

 それでも星の拒絶する意思は伝わってくる。嘆きたい気分になるが彼はそれをぐっとこらえた。

「強烈だなこりゃ」

 白銀は濃いむせかえるような霧の中にいるような感覚で一瞬目がくらむ。普通の人間には感じる事の出来ないエネルギー、しかし確実に存在する力。

「慣れたかの? お前さんには少々つらいかもしれんな」

 そう言って白銀に目線を移すと老人はビクリと体を強ばらせた。

 拒絶されている自分とは違い、彼の周囲には淡い色をしたマナが取り巻いていた。

 あの時から全てを拒絶してきたはずの『スナイプの意思』が彼だけには違う意思を表している。

 白銀はそれにはまったく気付いていないようだが。
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