Expansion-エクスパンション-
◆第6章~恍惚と堕落の先
 カーセドニックから遠く離れた星系にその惑星は存在する。

 ハイパー・ドライヴを使っても途中の惑星で給油を行わなければならない。

 オルセオニカの大気は澄んでいて療養するのに適した星なのだ。

「……」

 白銀は苦しい表情で星々の流れるサマを眺めた。

 母の容態……それは明るいものではない。彼女もそれを知っている。

「あと何年かの命」という事を。


 途中の惑星で給油をし、たどり着いた『惑星オルセオニカ』

 美しく七色に移り変わっていく空。

 ここのマナは誰にも優しく心を穏やかにしてくれる。

「……」

 地に足を降ろしたナナンの表情は硬い。

 以前、来た時よりも大気のマナが敏感に何かを察知している。

 一同は小型艇で白銀の母親のいる施設に向かった。

 その間も白銀の表情は険しい。しばらく飛んでいると白い建物が眼下に広がる。

 その入り口に降り立つと白銀は足早に建物に向かった。

「!」

 白衣を着た女性に駆け寄る。

「あら、アークサルドさん」
「すいません! 母は……」
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