偽りの結束
 まさか! さっきは女子トイレを、確認すらしていない事に気付いた。

 私は恐る恐る、女子トイレに入ると、個室から腕らしき物がはみ出ているのが見える。一呼吸し、個室をのぞくと、可奈子が倒れており、その上に折り重なる様にして、透が死んでいたのである。


 キャーーーーーーーー!!


 叫び声を上げてしまった。

 心臓の鼓動が速く、今にも倒れそうになりながら、震える手で、可奈子と透の遺体を確認した。可奈子と透の首には後が残っており、絞殺されていた……。

 どうして? 誰がこんな事……。殺人犯は潜んでいて、やはり無差別に犯行を重ねていたの?

 でも変だ……。悟の最後の言葉がひっかかる……。

 はっと、透達の荷物を確認しようと思い、私は走ってテントに向かった。

 まず、和美が持っていたブランドのバッグが目についたので、中を開け財布を確認した。そこには免許書が入っていたので見ると、そこには竹山和美と書いてあった。竹山?

 小山ではないのか? 竹山……、彩と同じ苗字……。確か彩には妹がいたはず。まさか、そんな偶然って……。


 ゴンッッッ!!!


 すると突然後ろから強い衝撃を受けた。

 どうやら何かで殴られたらしい。

 私は遠のいていく意識を必死で保ちながら、相手の顔を見た。
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