偽りの結束
 森で佐藤高男を、捕まえられたのはラッキーだったぜ。

 佐藤高男を殺せば後はまた隠れてりゃいいからな。

 残った、メス豚の可奈子とひとみと山田透は、お互いを疑い、殺し合いになるだろうと踏んでいたが、ひとみの機転で纏まった様だった。これには俺も舌うちしたね。

 だが、様子を見てると、ひとみと透が、車にある死体を必死に調べていた。

 死んだ振りのトリックなんぞ、俺は使わねーよと、シャクレたアゴを思わず撫でた。

 運良く可奈子がトイレに近づいてきたので、近くに居た俺は、可奈子の口を塞ぎ、女子トイレに連れこんだ。こいつを殺すのは山田透の仕事だから、常備していたスタンガンで気絶させといた。

 すると、ひとみは森の中に走り出したが、山田透は呆然としてなかなか動き出さないので、俺は山田透に声をかけた。

「全ての犯人はひとみだ! 可奈子は気絶させてあるから殺せよ!」と嘘を教えてやった。

 山田透は俺がいた事にも、ひとみが犯人と言う事にも驚いていたが、可奈子を殺せる喜びで一杯だったんだろうなぁ。

 俺の口車に乗って、女子トイレに駆け寄り、急いで可奈子の首を絞め出した。

 メス豚は本物の豚の様な声を出し、死んだ。

 そして俺はすかさず、山田透の首を絞めた。
 何で? って顔してたよ。バカな奴め。

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