【一話完結×短編集】ビター&スィート

バレンタインまであと数日

意を決して

あの日と同じように

震える指先で

ヒデくんに電話をかけた




「…ヒデくん今までありがと」




『はっ?…なんだよ、急に』




「いつまでも前に進めないんだ…


立ち止まったまま…ヒデくんばかりなの…




それが苦しい



だから…もう連絡しない」





『はいはい、わかった』




ヒデくんにとっては


今までと同じだったんだろうね…





「…約束は忘れないから」




『あぁ』




軽く返事をするヒデくん




本気なんだよ?




この時もまだ…


私はどこかで…



ヒデくんが繋ぎとめてくれる事を願ってた




でも…





「ありがとう…



また笑って会いたいね…」



そう言って


切りたくなかったけど…



…震えながら…切ったんだ…



これも運命だから…





きっとあの約束が運命ならば



また…繋がりあえるよね






前に進もうって決めたのに…




涙が次から次へと


溢れて…こぼれて…


止まらなかった…




まるでヒデくんへの想いのように…





まだね…


前に進む事は出来ない






でもね…


…少しずつ進んでみるよ


一歩ずつ…





いつかまた…


ヒデくんと


笑って話せる日がくるまで…





ヒデくん…


本当にありがとう




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