ゲイな彼と札束

「無理無理。俺、受け専門だから。逆にサエからやりたいって言われても、たぶん応えてあげられない」

マモルはそう言ってヘラッと笑い、あたしの腕を解く。

「ああ、そう……」

受け専門って。

だったらお前の男性器は何のために付いてんだ!

なんてつっこみたくなったが、恥ずかしくなったからやめた。

自信があるわけではないが、女としてちょっと悔しい。

「それとも、サエが攻めに回って突っ込んでくれるの?」

「なっ……!」

こいつ、爽やかな笑顔でなんてことを。

想像して顔が一気に熱くなる。

「突っ込むものを持ってねーよ!」

「あはは。そうだよね」

ちくしょう、からかわれた。

こいつの方があたしより上手だ。

あたしはいつかこの男を自分に欲情させてみたいと、密かに意気込んだ。

別に、こいつを好きになったわけではないけれど。



結局この日はマモルが買ってきてくれた飯を食って、風呂に入り、マモルの服を着て同じベッドで眠った。

キングサイズの広々としたベッド。

同じベッドに入っているのに、マモルは指一本触れてこなかった。

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