ゲイな彼と札束

この300万の存在にも慣れた。

マモルが22歳の大学生であることもわかった。

母子家庭で育ち、3年前にその母親が亡くなったことも、埼玉に社会人の妹がいることも聞いたし、手切れ金のうち50万を学費に使ったのも聞いた。

性格もだんだんわかってきた。

だけど、残りの300万をはした金のように扱うその神経は理解できない。

「つーかケガも治ったし、あたしはそろそろ……」

出ていくよと、言おうと思った。

「行くとこあるの?」

なんだこいつ、心が読めるのか?

「ないけど」

「じゃあいいじゃん。ここにいれば」

さっくり言うが、女に興味を持たないお前があたしなんか囲って何になるというのか。

大体の性格も理解したし生い立ちも聞いたけれど、何を考えているのかまではわからない。

「一緒に住んでくれる男を探せばいいだろ」

あたしの言葉に、マモルは首を横に振った。

「実は、サエがここにいてくれると助かるんだよね」

「は? なんで?」

何もできないあたしなんか、ただのお荷物じゃないのか。

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