美人薄命



「それ20万。」


突然の声に驚き立ち上がると、目の前には同じ歳くらいでカジュアルな服装に髭のある男の人。
このショップの人だと人目で判るくらいしっくりくる人だった。


「一脚20万、二脚なら30にしてもいいよ。」


「に、20まんえん…」

高そうだとは思ったけど…正直そんな高いものだとは思わなかった。
だって何処にでもあるような椅子だし。


「あんたが初めて。」


「は?」


「その椅子に座ったの。」


「はぁ。」


「まっ…売り」
男が何か言いかけた時、誰かが入ってきたようだった。

「わり、客だ。」


今すぐ買えるようなものじゃないし助かった。
ホッとしながら何となく男の先に居る客を見た。








< 14 / 203 >

この作品をシェア

pagetop