美人薄命


それから私たちはカフェを出て別れた。



沙織さんと出会って、彼女だと勘違いして落ち込んで…その分春人くんへの気持ちを知った。


あの時の感情を思い出すと辛いけど、沙織さんがいなければ私は勇気が出せなかった。



彼女の気持ちも痛いほど分かる。

誰かを好きになることよりも叶わなかった想いを過去にすることは勇気が必要なことだ。


執着した時間が長ければ長いほど、手放せなくなる。


その想いが完全に過去にするにはどれ程の勇気が必要だったんだろう。


新しい恋に出会えたらまた1歩踏み出せる。


けれど、生きているなかでそんな風に恋出来る相手と何度出会えるんだろう。




私も今日沙織さんと会って話せて良かったと思った。



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