忘却の彼方



今日の空はどこを見上げても青が広がるばかりだ。
皮肉か否か。
黒と白のコントラストが軽やかに一面の青と戯れ笑った。


鼻孔をくすぐる香ばしく懐かしい香りに落ち着く胸。
きっと服や髪…
全身の至るところにこの香りが染み付いてるだろう。
しばらく嗅ぎ続けていたせいか、鼻が鈍くしか反応しなくなっていた。


けれど皮肉にも君を想って泣く人々の嗚咽と鼻を啜る音。
それらは私の耳を通過してはくれずに、勝手に体中へと浸透していく。
浸透してその中へ沈めようとする。
…抗う力など残っているわけがないじゃないか。


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