それでも君と、はじめての恋を
「ご機嫌ね、渉ちゃん」
「えっ!? そうですか!?」
席に戻るとお母さんと牧野さんが準備をしていて、慌てて椅子に腰掛けながら自分の頬を両手で包む。
「寶くんに会えたから嬉しいんですね」
「あんな息子にこんな反応をしてくれる子がいるなんて……夢のようだわ」
そんな見て分かるほどニヤけてました……?
ていうか、エクステも牧野さんだと思ってたんだけどお母さんがしてくれるんだろうか……!
ドキドキしていると、牧野さんが「長さこのくらいでいいかな?」と確認してくれる。頷くと牧野さんとお母さんは何度か会話して、やっぱりふたり掛かりで付けてくれるようだった。
「マキちゃんから聞いたんだけど、渉ちゃんが告白したんだって?」
「――え! あ、そ、そうです……」
言うなよー! いや言われるとは思ってたけど、聞いてくるの早いよ!
「先に告白されるなんて……本当ヘタレな息子でごめんねー。大変でしょ」
「や、そんなことは……!」
「あるわよ! どうせ好きなんて言ってこないでしょ? そもそも会話も出来てないんじゃないかって、もう私心配で心配で………」
その後もお母さんは延々とモモのダメなところを並べて、思い当たる節は確かにあったから苦笑することしか出来なかった。
それでもあたしはモモが好きだなんて、さすがにお母さん相手には言えなかったけれど。
エクステも残すはサイドだけになった頃、あたしは恐る恐る口を開く。
「あの、確かに言葉足らずなとこあったりしますけど……いつも、ちゃんと考えてくれてるなって思います」
鏡越しにお母さんと目が合って、逸らしてしまったけど何とか言葉は続けた。