それでも君と、はじめての恋を


「背が高くて、多分茶髪でパーマかけてるかも」

「久坂さんか! はいはい、ふたりで歩いてたなら絶対久坂さん! 遊んだ帰りかな。こう、ポケットに両手突っ込んで歩いてる人でしょ?」

「っそう! その人!」


パッと顔を明るくさせた友達に、確かに久坂さんはこの子のタイプかもしれないと感じる。


「声掛けてくれれば良かったのに」

「や、でも割と距離あったし……笑った顔すっごい可愛いよね!」

「あー、だね。年の割に……って、うちらの2個上だけど。性格もいいし、面倒見いいっていうか、とにかく優しいかな」


うんうん、と頷くと、友達は頬をほんのりピンク色に染めて「そうなんだ」と囁くように呟いた。


……これは、一目惚れというやつなのかな。まあ久坂さんいい人だし、断る理由もないよね。


「分かった! すぐ聞いてみるよ。彼女いないから大丈夫だとは思うけど」

「まじで! いないってよ? 良かったじゃーんっ」

「あ、わ……ありがとーっ! よろしくお願いしますっ」

「おお、任せて!」


グッと拳を握ってみせると、ふたりの友達は笑顔で手を振って教室へ戻っていった。


いやあ、青春だ。いいなー……。


「――!」


教室に入った瞬間ビクッと肩を跳ねさせたあたしを見下ろすのは、鋭い目つきを持つモモだった。


こ、こんなところで何を……。


「何、今の話」


思考を遮断させるほどの冷たさを含んだ言葉と共に、モモは組んでいた両腕を解いて、教室のドアに寄り掛からせていた体を起こす。


目の前に立ったモモの威圧感が、反射的に体を一歩後ろへ下がらせた。


「……何って」


どれのこと?と思う前にモモは「久坂」と口にする。


突然話し掛けてきたことだけでも相当驚いたのに、考える暇も与えてくれないモモの言い草に余計混乱した。
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