それでも君と、はじめての恋を


「放課後とか、休みの日は何してるの?」


コレ、結構知りたいことだったりする。


「……妹の迎えか、遊び相手」


む、迎え? 遊び相手? 妹思いなの? そんな目付きで?って失礼だけど……。


何その見た目とのギャップ! 反則! イエローカード!!


ていうか、それは時間があるんじゃない? や、ないの?


あたしにも、割く時間があると思ってもいいのかな。


「きょ、今日は大丈夫だったの? 妹さんの、お迎え?」


桃井くんはあたしと視線を交えて、すぐに目を伏せる。


いつもそうだ。やっぱり桃井くんは、目を見て話すのがあまり得意じゃないみたい。


「毎日のことじゃないから、平気」

「……」


キュッと、胸に不思議な痛みを感じる。それに何でか、平気と言われて恥ずかしくなった。


な、何で心拍数が上がるかな……。


あたしは「そっか」とだけ返して、氷が溶けて味も色も薄くなったオレンジジュースを飲む。


そのせいか、よく分からないけど。


あたしの心に広がる何かが、とても濃いような気がした。
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