お前じゃない
 ハルが一階に下りると、丁度キッチンから出てきた久美子に会った。


「あれ、ハルはお風呂? 私は部屋でテレビでも見ようかな。少しは気紛れるといいんだけど」


「お笑いの番組でも見た方がいいですよ。じゃ行ってきま〜す」


 少し言葉を交わすと、ハルは浴室に入った。

 湯船に浸かってぼんやりしていると、突然電気が消えた。

 停電? ハルは暗闇の中、手探りで湯船から出ると、何とか服を着る。そして浴室を出ようとドアを探し、開けた瞬間大きな音がした。


 ガッターーーーーーーーン! ゴロゴロ! ガッターーーーーーーーーン!


 何の音だ? そう思っていると、ぱっと電気が点き明るくなった。

 そして目に飛び込んできたのは、階段の下で倒れているだいちゃんの姿だった。
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