お前じゃない
「俺も……坂上と同じ様に、電気が点いて、ハルの叫び声が聞こえたから部屋を出たんだ。どうして……どうしてだいちゃんは階段なんて……一階に行く所だったのか……。部屋に居れば落ちる事なんてなかっただろうに……ちきしょう」


 ポッコリ殿も、だいちゃんが死んだ事を悔しがり涙を拭っている。

 ハルも悔しかった。あの時、だいちゃんと一緒に居れば、だいちゃんは死なずに済んだかもしれないのにと。

 その後は男三人で、だいちゃんの遺体を部屋に運んだ。


「ハル、お風呂途中だったんでしょ? 風邪ひくから、もう一度温まってきたら?」


 久美子は、一番ショックを受けているであろうハルに、優しく声をかけた。

 ポッコリ殿と坂上もショックが大きいらしく、何も言わず肩を落とし、それぞれ部屋に戻って行った。

 久美子はハルの肩をぽんっと叩き、一階の部屋に下りていく。

 ハルは一度部屋に戻ると、散らばって読みかけのページが開いたマンガを目にし、うわ〜と泣き叫んだ。ついさっきまでだいちゃんは生きていたのに、と……。
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