背徳の天使
 こうじとさとるは、絶対に京子にやり返さない。


 何故なら、あきらが京子のことを好きだから…


 あきらは、チッと舌打ちすると、


「行くぞ」


 とこうじとさとるを引き連れ、堤防の傾斜を登って行った。






「あいつら、今度やったらその時は、顔面に一発づつ食らわせてやる!」


 そう言いながら、京子は靴や靴下が濡れるのも気にせず、ジャブジャブ川に入って俺の教科書を拾い始めた。


 俺はその場に立ってメソメソ泣くだけで、何もできなかった。


 京子は教科書やノートを全部拾い終わると、それを濡れたまま転がっている俺のランドセルの中へ入れ、


「はい。」


 とランドセルごと俺に差し出し、帰ろ、と微笑んだ。







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