虹の都へ
ガチャッと、ドアの開く音。

音のした方向を見ると、虹が自分の部屋から出てくるところだった。

あたし、今どんな顔してる?

どんな顔で、虹を見てるの?

「おはよ…」

ポツリと、虹が言った。

「……おはよ」

うっかりしたら、聞き逃してしまいそうなくらいの小さな声だった。

「大丈夫か?」

虹が声をかけてきた。

「昨日瑞希が風呂から出てくるのが遅かったら見に行ったら、倒れてた」

虹が言った。

「そう…」

それに対して、あたしは答えた。

つまり…のぼせた、と言う訳か。

そう思っていたら、
「あのさ、瑞希」

虹があたしを呼んだ。

あたしは、身構える。

何を言われても、大丈夫なように。
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