虹の都へ

悲しい顔

初夏の夜は心地いい。

あたしはベランダの窓を大きく開け、リビングでケータイ小説を読んでいた。

ケータイ小説って言っても書籍ではなく、携帯電話でカチカチとスクロールをしながら読んでいた。

まあ読んでいるって言うよりも、文字を見てるって言う方が正しいかも。

にしても、
「虹、遅いな」

画面の右上にある時間を見ると、21時を過ぎていた。

一体どうしたんだか。

仕事が忙しいのかしら?

「それとも」

女と一緒とか?

「…まさか、ね」

虹、大人だし。

女の1人や2人……ううん、その他大勢いてもおかしくない。
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