トランプ帝国記
て、ぐちゃぐちゃにかき回されたみたいになる。


眉間にシワを寄せたれんげを見て、『フェイ』と呼ばれるその人は、


「わけわかんなくて当然だな。…少し外出て話すか」


そう言ってれんげに柔らかい表情を見せ、大きな手を差し伸べた。


「立てるか?」


「…はい」


れんげは素直にそれに手を重ねた。





真っ白な教会らしい建物の外はやっぱり白で、床も一面白いレンガで埋められている。


真ん中には噴水があり、その向こう側は同じような建物。


左右に広く道があり、その端からは階段がつながっている。


その先には緑の自然が悠々としていた。


「外は気持ちいいな。さっきの二人は町の役場で待ってる」


「……あの、ここは…、ここは本の中の世界ですか?」


「いや、違う。順に話すが、ここはあの本の中じゃない」


「…?じゃあ、ここは…」


「ここは、君がいた世界から何千年も前に存在した世界。あの本はここで起こった歴史を綴ったものだ」


「何千年も昔…?じゃあ、作り話じゃないの?」


「ああ。あの本は、ここと本のある世界を繋ぐ役割がある」


ただの本の中にいると思っていたれんげの表情が
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