トランプ帝国記
振り返ったクロードは、満面の笑みで答える。


「トランプ帝国兵全員が、戦う意志のないことを伝えるんです。」


思いも寄らない完結すぎる言葉に、呆気に取られる三人。


ふざけているのかと、怒りの感情が顔に出るキアー。


「それ…だけ?そんな簡単に通ることなんですか?」


リアの言葉にも表情を変えず、微笑みながら淡々と話すクロード。


「よくわかっているでしょう?


意見を一つにするのはとても難しいことです。


この兵でなら尚更ね。」


リアは思い出したような顔をしてから、クロードから目線を下にそらした。


れんげには、その言葉の意味がわからなかった。


「その後に儀式を行うそうです。


それが、この帝国の伝統です。


首を落とされるくらいの覚悟はしておいて下さいね。」


全員の身が引き締まる。


深刻に考えていなかったわけではないが、クロードに言われると恐ろしいものがあった。


「あのぉ…」


れんげは顔の強張るリアのすぐ横で、気になっていた質問を恐る恐る口にしてみた。


「どうして、国が一つになるのがそんな難しいんですか?


目的は一つなんじゃぁ…?」
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