初恋
「つまんないヤツって思った?
いまどき写真なんてダサい?
色あせてるしね。

工藤くんからしてみればそうだよね。」

言いながらさくらは膝の上の写真を片付けはじめた。



クドカンからどう思われようとどうでもいいのに

こんなどうしようもない悪態をぶつけていた。



「あ…ごめん。そんなつもりじゃなかった。

俺、全然写真とか分かんなくて…。『色あせてる』って失礼だったら謝る。

でも、こんな状況だから言うんじゃないけど、あの写真…、すごいきれいだと思った。」


少しの間わたしはクドカンを見た。


意外に喋るのかな。しかも、ほめてくれた。
「…ありがとう。嬉しい。

なんか、変なこと言ってごめん。

私、友達に写真見せたことなくて。ちょっと焦った。」


「うん。」
ふとクドカンは窓の外に視線をそらした。

――あ、黙った。
それにしても綺麗な目だな-。



それから会話が続くことはなくて、およそ五分間、さくらが降りる駅までは

静かに電車のガタン、ゴトンという音が鳴り響くだけだった。


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