ココアが欲しいんだ【季節短編】
ココアが欲しいんだ







バレンタインなんて自分には関係ない事だと思ってた。




もちろん好きな人なんていなかったし、第一バレンタインはお菓子会社の陰謀なのだ、と小さい頃に兄から聞いていた。




兄はモテなかったらしく、よく妹であるアタシに言っていた。




「美鈴、バレンタインなんてものはなぁ、お菓子メーカーの陰謀なんだ。チョコをあげる日を作ってチョコをたくさん売るっていう作戦だ!だから美鈴は騙されないようにしろよ?」




「ふーん。じゃあ美鈴、誰にもチョコあげない」




「よしよし、美鈴はいい子だ」




…今思うと兄が可哀想な気がする。




そんなにモテなかったんだ…




でも兄が言ってた事も間違えてはない、とアタシは思う。
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