現実RPG2
「ライトニング!」


その声と共に、拓馬の手のひらから光の弾が現れ、ボーンナイトを貫いた。


その速さは、まるで弾丸。ボーンナイトはろっ骨を砕かれ、その場にバタリと倒れこんだ。


「やった……!」


使えた。また、魔法が使えた……!


腹部を押さえながら、フラフラと立ち上がる拓馬。


安心している場合ではない。逃げないと。一刻も早く、この場から立ち去らないと。


奴らは、仲間を呼ぶ。


「ぐっ……ぐっ……」


一歩一歩、歯をくいしばりながらゆっくりと進む拓馬。


思ったより、お腹のダメージが大きい。


なんで、俺がこんな目に……


「ハァ、ハァ……」


激しい呼吸を繰り返す拓馬。


確か、ルイが言ってた。魔法は、一度撃つと半年くらい充電しないと撃てない。


つまり、今のが最後だろう。次に敵に遭うと、もうどうしようもない。


そんなとき、念願の希望が見えた。


「やった!」


笑みがこぼれるとは、このことか。


警察署だ。警察署が、見えた。


まだ後百メートル程あるが、人影も確認できる。


あれは、間違いなく警察官だ。


「助かった……助かった!」


お腹の痛みも吹っ飛ぶような喜びだった。


余った体力を全て使って警察署の前までダッシュすると、拓馬は入り口に立つ警察官に言った。


「助けてください、殺されそうなんです!」


そのとき、急に不安になる拓馬。


待てよ……この警察官、モンスターじゃねぇよな……?
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