現実RPG2
竜太は強い。それは、ルイが一番よく知っている。


拓馬があのあと戻ってきて、殺した?


いや、有り得ない。記憶が少ししかない拓馬が、竜太を倒せるはずがない。


強盗?いや、それの方が有り得ない。並の人間が、竜太に敵うはずがない。


じゃあ、一体誰が……


「あ……」


そのとき閃く、一人の人物。


「ルカ……」


あの野郎、まさか……親父を……!


奴なら、親父の弱点を知ってる。一対一では敵わないが、隙を突けば勝てる可能性のある唯一の人物だ。


でも、どうやって?あいつはこの家を知らない。


この家は、玄関のドアを開けない限り親父の魔法『ステルス』で組織の人間からは見えなくしている。


この家がバレるなんてことは有り得ない……


「一体、何がどうなってんだよ……」


絶対に有り得ないはずだ。ルカたちに、この家はバレていない。それなら、一体誰が……


悲しんでばかりもいられない。親父が死んで、この家のバリアは解けた。ルカが突入してくるのも時間の問題だ。俺の新しい魔法で、ルカが倒せるという確証もない……ここは危険だ。離れないと……


「ちくしょう……」


ルイは立ち上がると、涙を拭いて家を出た。


竜太の遺体を土に葬りたかったが、その現場を一般人に見られてはまたややこしくなってしまう。


今は、するべきことがある。何としても、拓馬を見つけないと……。
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