street love
その夜。美波は何だか気になって響が居そうな所へやって来た。


(「やっぱりいないか…来て損しちゃった」)


美波は道の影から見ていた。


(「帰ろうかな。もう会わない方いいかも」)


振り返り、帰ろうとした時。
目の前に誰かが現れた。
上を見上げると、そこには見た事ある人がいた。


「あ!ヒビキ君!?どうして…」

肩にはアコギの入ったギターケースがかけられていた。
今夜も歌っていたのだろうか。

まさか来るとは思わなかったので美波はすごく驚いた顔をする。


「やぁ…美波ちゃん。久し振り、どうしたの?そんな顔して…そんなに俺に会いたかった?良かった途中で戻って来て。もし、このまま帰ってたら俺達、会えなかったね」

「………」


無言の美波。


「この間もここに来たんだって」

「え、何でその事知ってるの?」

「キミの事なら…何でも分かるんだよ。なーんてね。ホントはいつも歌ってる知り合いに聞いたんだよね」

「言わないでって言ったのに、何であの人…」

「まぁまぁいいじゃん。今日また会えたんだしさ。あ、ところで美波ちゃん、明後日って暇かな?」

「明後日?うん。別に今んとこ予定ないけど」

「じゃ会わない?」


突然の誘いで少し迷ってしまう。


「あ、えっと…」

「やっぱ都合悪い?」

「ううん。都合いいよ」

「本当!?うれしいよ」

「あの…時間は?」

「お昼前で11時でいい?場所は駅前で」

「分かった。駅前ね」


こんな風に美波は響からの誘いを軽くOKしたが
後で気付いたら明後日はクリスマスイヴの日だった。


「ねぇヒビキ君、何で途中でここに戻って来たの?」

「あ、何か胸騒ぎがして」

「そうなんだ…」

「きっとキミがここにいたからなんだね」


キザな台詞を
響は軽く言ってくるから、言われた方はどんな反応をしていいか分からなくなってしまう。
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