ミッドナイト・スクール
「ユリ、どうしてパスワードがわかったの?」
困惑する信二にユリは言った。
「多分、信二君の言いたかったのはクロムウェルじゃないかしら。世界史の先生なら世界史に関連した覚え方してるんじゃないかなと思って。クロムウェルなら一六四二年の清教徒革命ね。だから、1、6、4、2がパスワードになるのよ」
スラスラと述べてくれたが、信二には直ぐに理解出来なかった。
……カギを取った二人は、会議室へと一反る事にした。
戻る途中、信二はユリがいてくれて助かった事、そしてこれからは、もう少し真面目に授業に取り組もうという事を考えていた。

……会議室に着いた二人は、他の仲間に事務員室での後藤の死について報告した。
「そんな、また……」
目に一杯の涙を浮かべ、魅奈は肩を落とした。
他の全員からも悲しみの表情が見て取れた。
「くそっ! 一人で行かすんじゃなかった」
バットを握り締め、和哉は歯を食いしばる。
「もう済んでしまった事は仕方ない。それより、これからどうするかを考えなくちゃ」
手当を終えた冴子は、イスに腰掛けている。
「……そうだな、それを考えなくちゃな」
ようやく和哉も気を取り直したようだ。
「とりあえず教科室へ行ってみよう。さっき調べた時には入れなかったけと、あそこには何かがあると思うんだ」
図書館での出来事を思い出した信二は、先頭をきって提案した。
「よし、わかった。まずは教科室だな。行ってみよう」
和哉はバットと、ボールの入った布袋をユリに持たせると、冴子に肩を貸して立ち上がらせた。
「悪いな和哉」
「何、いいって事よ」
廊下に何の気配もない事を確かめると、信二を先頭に、魅奈、和哉と冴子、そしてユリという順番で進んだ。
魅奈は信二の腕を抱き抱えるようにして歩いた。先程の視聴覚室での出来事が頭をよぎる。魅奈にとっては、信二の腕一本が今は何よりの支えだった。

十四日 (土曜日)
現在時刻一時二十八分
生存者五名 (信二、魅奈、和哉、ユリ、冴子)
死亡者五名 (浅岡、種田、文彦、悠子、後藤)
TO BE CONTINUED!


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