ミッドナイト・スクール
「なるほど、信じられない話だけと、さっきのあれを見てるし、信じない訳にもいかないな」
髪を掻き上げ、冴子は領く。
「冴子もよく無事だったな」
「ああ、最初はかなり動揺したけど何とかね」
……冴子の経緯はこうだ。放課後、屋上で一服しながら昼寝をしていて、気づいたら下校時刻を過ぎていた。帰ろうと駐輪場に来たら音楽室の方から悲鳴が聞こえた。何事かと思って近づくと、帰りの遅くなったサッカー部の誰かが血まみれで倒れていた。そして、その側には例のゾンビ犬がいて、そのサッカー部員を食い散らしていた。た冴子は、ゾンビ犬が自分に向き直った際に、直感的に逃げ出した。幸いな事に別館のドアが開いており、そこから音楽室へと逃げ込んだ冴子は事なきを得た。それから間もなく、魅奈の悲鳴を聞き付け、ドアから様子を窺っていたという事だった。
「じゃあ、校舎内にはまだ、和哉や悠子達が残っているって言うのか?」
タバコに火を点けると、冴子は大きく煙を吸い込んだ。
「ああ、種田とかは脱出したかも知れないけと、他の奴等はまだ残ってる筈だ」
……辺りに静寂が訪れた。外に怪物がいるとは思えない程の静けさだ。
「静かですね……」
ぽつりと言った魅奈のセリフさえも大きく聞こえた。
今もゾンビ犬はドアの外を徘徊している。だが、ここへ入ってはこれないだろう。
「まあ、とにかくだ。おまえらの言ってる事から考えると、ここもそんなに安全とは言えないな。ここは逃げ道がほとんどないからな。出来れば少しでも逃げ道の多い、校舎の方が安全だと思うよ。それに校舎にいる連中にも連絡を取らなきゃならないしな」
タバコの火をもみ消すと、冴子は椅子から立ちあがった。
「でも、外には例の犬がいるんですよ。どうやって校舎まで逃げるんですか? 私、思い出しただけでも足が震えちゃって」
魅奈が怯えた目をして一言った。
「大丈夫。いいアイディアがあるんだ。何とかしてみせるよ」
そう言うと、冴子は魅奈の頭を優しく撫でた。
魅奈には冴子に対する憧れの感情がある。
一目見た時から女として惚れ込み、いつの間にか仲の良い関係になっていた。見た目は面倒見の良い姉と、甘えん坊の妹のように見える。対照的で似つかない二人だが、中学の頃からの付き合いであり、絆はとても深いようだ。
「で、そのアイディアつてのは?」
髪を掻き上げ、冴子は領く。
「冴子もよく無事だったな」
「ああ、最初はかなり動揺したけど何とかね」
……冴子の経緯はこうだ。放課後、屋上で一服しながら昼寝をしていて、気づいたら下校時刻を過ぎていた。帰ろうと駐輪場に来たら音楽室の方から悲鳴が聞こえた。何事かと思って近づくと、帰りの遅くなったサッカー部の誰かが血まみれで倒れていた。そして、その側には例のゾンビ犬がいて、そのサッカー部員を食い散らしていた。た冴子は、ゾンビ犬が自分に向き直った際に、直感的に逃げ出した。幸いな事に別館のドアが開いており、そこから音楽室へと逃げ込んだ冴子は事なきを得た。それから間もなく、魅奈の悲鳴を聞き付け、ドアから様子を窺っていたという事だった。
「じゃあ、校舎内にはまだ、和哉や悠子達が残っているって言うのか?」
タバコに火を点けると、冴子は大きく煙を吸い込んだ。
「ああ、種田とかは脱出したかも知れないけと、他の奴等はまだ残ってる筈だ」
……辺りに静寂が訪れた。外に怪物がいるとは思えない程の静けさだ。
「静かですね……」
ぽつりと言った魅奈のセリフさえも大きく聞こえた。
今もゾンビ犬はドアの外を徘徊している。だが、ここへ入ってはこれないだろう。
「まあ、とにかくだ。おまえらの言ってる事から考えると、ここもそんなに安全とは言えないな。ここは逃げ道がほとんどないからな。出来れば少しでも逃げ道の多い、校舎の方が安全だと思うよ。それに校舎にいる連中にも連絡を取らなきゃならないしな」
タバコの火をもみ消すと、冴子は椅子から立ちあがった。
「でも、外には例の犬がいるんですよ。どうやって校舎まで逃げるんですか? 私、思い出しただけでも足が震えちゃって」
魅奈が怯えた目をして一言った。
「大丈夫。いいアイディアがあるんだ。何とかしてみせるよ」
そう言うと、冴子は魅奈の頭を優しく撫でた。
魅奈には冴子に対する憧れの感情がある。
一目見た時から女として惚れ込み、いつの間にか仲の良い関係になっていた。見た目は面倒見の良い姉と、甘えん坊の妹のように見える。対照的で似つかない二人だが、中学の頃からの付き合いであり、絆はとても深いようだ。
「で、そのアイディアつてのは?」