ミッドナイト・スクール
……その頃、グラウンドの三人も死闘を繰りひろげていたのである。
「来るぞ!」
三人はグラウンドに散り散りになった。
「げ、何で私の所に全部来るんだよ!」
後藤と和哉には見向きもせず、冴子の後ろを、ゾンビ犬三匹ともが追いかけて来る。
「こおのスケべ犬があ!」
ビシュン。
ドフッ!
「キャイン!」
悠りの和哉の豪速球が、ゾンビ犬の一匹を直撃した。
「グアウウウン」
ようやく犬たちは散らばり、人間対ゾンビ犬による、タイマン三本勝負が始まった。
「うわっ、わっ、来るな」
アイアンを振り回し、後藤は犬を自分に近づけないようにしていた。
「グガウウウ、グアウ」
ゾンビ犬が突進して来た。
「うわっ」
危うい所でかわした後藤だったが、奴の爪でズボンが切り裂かれている。
「このやろー、高かったやつなのに」
犬は苦しそうに息をしながら、後藤の方をじっと見ている……が、何か頭の角度がおかしい。
「そうか、お前の弱点がわかったぞ!」
後藤はアイアンを身構えた。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ウガウ!」
走って来た犬を見て、後藤は自分の予想が確信に変わった。
「お前、頭が取れかかってるぞ!」
ブンッ!
グシャアッ!
「ギャヤャヒイ……」
ゾンビ犬の悲鳴は途中までしか開こえなかった。後藤の7番アイアンが、ゾンビ犬の頭をナイスショットしたのだ。
犬の頭は遠くに無惨に落ち、胴体は血を吹き出しながらフラフラと千鳥足をしたあと崩れ落ちた。
後藤は朝礼台に腰掛けて冷や汗を拭った。
「トゥデイイズホールインワン!」
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