春風に捧ぐ
遠い日の記憶



「ごめんね?痛くない?」



尻餅をついてしまった少女に手を差し伸ばす少年。原因は他ならない彼との衝突。だから彼の言動は当たり前の物だった。



「やっぱり痛かった?」



心配そうに少女を見る少年。でも彼女はただ何も言わずに彼を見つめるばかり。彼は何かに気付いたようでふっと口元を緩めると彼女の目線に合わせてしゃがみ込む。そして、優しく頭を撫でた。



「大丈夫だよ。俺は君を虐めないから」



この言葉が彼女にとってどれ程救いになったか彼は知らない。







そう…きっと今でも。
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