野獣、時々、王子様。



「そんなことより、雄大は?」


「雄大?あれ、そういえば……どうしたんだろう」


いつも、椅子に座って紅茶を飲んでいる雄大の姿がない。

ちょっかい出してくる大杉に腹を立てている雄大がいない。



『会長は風邪で学校をお休みです』


めがねをかけて黒い髪をくるくる巻いた小柄の女の子が言う。


「あっそうなんだ。ありがとう」


『い、いえっ』


なんか……顔が赤いのは気のせい?
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