ランク国物語
 「ハァハァ…。しばし休憩をとる。しっかり休め。」河からだいぶ離れた所に林があり、そこで休憩をとった。
 「スターツ様報告致します。現在地はおよそ河と敵拠点の中間点であると思います。交代で付近を警戒しておりますのでゆっくり休んでください。では失礼します。」スターツは木に寄り掛かりながら一礼して歩き去るランスの後ろ姿に、
 「お前には苦労ばかりかけるな…すまない。」ランスは振り返り、
 「いえ。有り難きお言葉感謝致します。」再び一礼して歩き去った。
 「……様…スターツ様!起きてください敵襲です。」ランスはスターツの肩を叩きながら言った。
 「ん…ん!敵襲だと!」慌てて起き上がり、
 「現在の状況は?」ランスはスターツを誘導しながら、
 「敵部隊はこの林から西の方で展開中です。我が部隊は西側を中心に展開し、それ以外は五人一組を四組組ませ伏兵がいないか捜索中です。」
 「五人一組…少な過ぎないか?」
 「敵の数が多過ぎるんです。敵の数は、最低で七万、騎兵が中心のようですが歩兵もばかにならない数です。」
 「被害は?」
 「敵側味方側の被害は無しです。」
 「…ランス。部隊の指揮を任せる。」
 「最善を尽くします。スターツ様は何をなさるのですか?」
 「単騎で特訓してくる。」ランスは振り返り、
 「馬鹿な真似はおやめください!一人で何が出来るのですか?」スターツは笑いながら、
 「囮ぐらいにはなるだろう。」
 「部隊の司令官が囮になるなんてことしないでください。」スターツは真面目な顔になって、
 「それに今のままでは私は何も出来ない。これからのためだと思って今回は許せ。」
 「わかりました。ただし今回だけです。それと生きて帰ってきてください。」
 「分かってるって。」そして二人は戦場に着き、馬に乗って別々に駆けていった。敵の正面にランスは部隊を展開し少しづつ敵に近づいていた。スターツは敵の左側におり見つからないように近づいていた。
 「レイジリアンの風覇術を受け継ぎし我が声に答えよ。我が剣…我が馬…我の早さを極限にまで高めよ。スピードアップ!」
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