あたらしい世界
4・It is not a lover either
「やー。おはようございます」


クロス☆音々の練習の時間だ。


7月の夏休み中の練習は、14時から18時で、土日を除く毎日に日程が入っている。


練習場所に集まり、まずミーティングから始まる。


「おはようございますー」

バラバラに立っているサークル員の前に立ってミーティングを進めているのが東雲部長だ。


――足もお腹も肩も、腕も指も何もかも細い。 


あんな食生活だったら、血も肉も作られないよ。


今朝は辛うじてお味噌汁を飲んでくれたけど。


それにしても、ゆうべ、あんなに大泣きしていた部長が、今日はいつもの“部長”している。


明るい笑みをたたえて。


首を左右にフラフラさせて、人前に立って話している。


んー。なんか、不思議。


「まず初めの一時間、15時まで個人練習。休憩は各自、とってください。それから合奏です。17時からは編成ごとに分かれて練習なり、コミュニケーションをはかるなり、好きにしてください」


「好きにしてくださいって」


「あははは」


東雲部長の物言いに、サークル員はどっと沸く。


「じゃあ、本日もよろしくお願いします」


「よろしくお願いしますー」


夏休み中の練習室は、第一練習室と第二練習室に分かれる。


フルートとクラリネットパートは、ここ、第一練習室で練習だ。


第二を使う残りのパートは、わらわらと移動していった。
< 34 / 73 >

この作品をシェア

pagetop