命の贈り物


「無理……でしょうか?」

私は未だ調査書とにらめっこをしている先生に聞く。



「いや、この成績ならある程度いい学校に行けるだろう。」




「良かった……。」




「将来は何になりたいんだ?」




「将来……。」




そういえば、まだ考えてなかった。



「何になりたいかによって大学も違ってくるからな。」




私が将来、なりたいもの……。




「先生、私、医者になりたいです!」




「……何だ、その今決めましたみたいな言い方。」




「今決めましたみたいな言い方じゃありません。今、決めたんです。」




そうだ、医者になろう。




「お前なぁ、医者なんて今決めたみたいな決意でなれるもんじゃないんだぞ!?」




「分かってます。」




それくらい分かってる。

半端な気持ちでなれる職業じゃない。



だけど……

それでも




「それでも私、医者になりたいんです!」




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