命の贈り物


知らせを聞いたのは卒業式を目前にした日のこと。



「私たち、結婚、することにしたの。」




かなえと颯太が教えてくれた。




「おめでとう。」




そう、祝った。




でも、それっきりだった。




奈都子は話し終えるとコーヒーを口にした。





「卒業式以来、かなえも颯太くんも、同窓会に来ないし、実家は引っ越して、連絡も変わってたの。ずっと、気がかりだったわ。」





奈都子は寂しそうに告げた。





「安心、した。こんな可愛い娘さんに恵まれてるようだし。それじゃあ、仕事があるから失礼するわ。ごめんなさいね、本当に。」




そう言って奈都子は財布からお金を出し置いていった。


3人分のコーヒー代を。





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