愛羅武勇×総長様Ⅰ

ふと時計を見ると、全力疾走しても間に合わない時間に。

いつも慌てて家を出てるけど、そのいつもよりずっと遅い時間だった。


「大ちゃんの所為でまた遅刻だ…」

「…だから乗せて行ってやるって言ってんじゃねぇか。」

「………仕方ないから今日は乗る…」

「何様だてめぇ」

「スイマセン、乗せてください。」

バイクに跨ると、ゆっくり進み始めた。

そんなに都会じゃないから、この大きなバイクの音はきっと近所迷惑なんだろうなぁ。

振り落とされないように大ちゃんにしがみつくと、少しだけ暖かかった。


でもやっぱり……


「寒いよー!」

「うるせぇ。」

大ちゃんってば凄いスピードで行くもんだから、風がモロに当たっちゃうんだよ!

「大ちゃん寒ーい!」

「……………。」

とうとう無視されちゃったよ。

仕方ないから学校につくまで、黙ってることにした。

話すこともないのにどうして迎えに来てくれたんだろう。やっぱり大ちゃんってよく分かんないや。

< 23 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop