愛羅武勇×総長様Ⅰ
そんなことを考えていると、両方の腕を引っ張られた。
片方は風磨に。
もう片方は大ちゃんに。
どちらかの腕を振り払わないといけないんだ。
ごめんね……もう決めたの。
いや、最初から決まってのかも。
片腕を振り払おうと、少しだけ力を入れると
「俺を捨てる…?」
悲しい顔してそう言われた。
その顔を見ると、どうしても腕を振り払えない。
「ごめんね……っ」
―バタン…
車のミラーから倉庫を見ると、喧嘩が始まっていた。その中で、たった1人だけが呆然と立っている。
「出せ。」
隣で、少し暗い声が聞こえた。
「ごめんなさい…っ……」
謝ってすむことじゃない。
全部あたしが悪いんだ。
「ごめんな、さい…っ……ヒック…」
涙が止まらなくて、心の中が罪悪感で埋め尽くされた。
「……ごめ、んね……っ…」
ほんとは、好きなんだよ。
「………大、ちゃん……っ…」