愛羅武勇×総長様Ⅰ

そんなことを考えていると、両方の腕を引っ張られた。

片方は風磨に。

もう片方は大ちゃんに。

どちらかの腕を振り払わないといけないんだ。


ごめんね……もう決めたの。

いや、最初から決まってのかも。


片腕を振り払おうと、少しだけ力を入れると

「俺を捨てる…?」

悲しい顔してそう言われた。

その顔を見ると、どうしても腕を振り払えない。




「ごめんね……っ」


―バタン…


車のミラーから倉庫を見ると、喧嘩が始まっていた。その中で、たった1人だけが呆然と立っている。


「出せ。」

隣で、少し暗い声が聞こえた。



「ごめんなさい…っ……」


謝ってすむことじゃない。

全部あたしが悪いんだ。


「ごめんな、さい…っ……ヒック…」

涙が止まらなくて、心の中が罪悪感で埋め尽くされた。


「……ごめ、んね……っ…」



ほんとは、好きなんだよ。



「………大、ちゃん……っ…」


< 61 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop