愛羅武勇×総長様Ⅰ

「あーあ、今回は美憂か…」

遼が発した言葉を聞いた途端に、不安が募る。

「な、何が…?」

「標的。」

「何せ大智の彼女だからな…光紀が見逃すわけねぇと思うけど。」

ヤバい…。

標的?

完璧に危ない感じでしょ。

どーすんの?学校まで乗り込んできて、乱闘騒ぎ起こしたような人だよ?


「今だけ別れとくって手もあるけど、光紀なら見破りそうだしな…」

「美憂、1人で行動しちゃダメだからね。」

そりゃあもちろん!

危ない目に遭わないなら、24時間でも3人と一緒にいるよ!

「俺から離れるな。」

「うん!」

「朝行くときも、帰りも1人は禁止!」

「はい!」

「学校でもだぞ。」

「分かった!」

今日から1人になるのは家にいるときだけ。

外にいるときは、いつも誰かと一緒にいよう。


「あ、ねぇ大ちゃん、今日はどうやって帰ったらいいの?」

「槙、送ってやれ。」

「俺が送る。」

遼が「送る」と言った瞬間、大ちゃんの顔が喧嘩をするときのような表情に変わった。


「大ちゃん…?」

「………何でもない、じゃあ遼。送ってやれ…」

「りょうかーい」

やっぱり遼は謎だ。

こんなに寒いのに、自ら送るだなんて……あたしなら絶対しないね。

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