シルバーブラッド ゼロ
だけど、瞼を閉じるなり、自分の周りにあったものが、全て消失したような錯覚に襲われて、目を開けた。

世界はまだ、そこにあった。

薄暗闇に、木が浮かんでいるのが見えた。

その向こうの開けた空間から、下界の街の明かりが見える。

その明かりが、この場所を暗闇から守ってくれていた。
 
すぐ隣を見ると、うずまる様な姿勢で、毛布に包まっているエイジュがいる。
 
浩之は、もう一度目を閉じて無音と戦うことにした。
 
何度かふっと意識が消えかけて、その何度目かに、体に染み込んでくる寒さに揺り起こされた。
 
隣りを見ると、エイジュは眠っているようだった。
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